こどものおいしゃさん日記

何だってこんなことになってしまったのだろう

こういうお産のレスキューを求められたらどうしよう、とか思った

asahi.com : 医師・助産師頼らず自宅出産 朝来の大森さん夫婦 - マイタウン兵庫

何と申し上げたらよいものやら。まずは母児とも無事で何よりとは申し上げよう。そこから出発しないと、なんだか自宅出産がうまくいったのが悔しいみたいな論調になっても嫌だし。

何回立ち会ってもお産は怖い。怖いお産に立ち会うのが仕事なんだから当然かもしれないが、十年以上やってて未だに緊張が抜けない。一つ一つのお産が無事に済むということが、一つ一つ奇跡だとさえ思う。それは私らが立ち会うようなハイリスク分娩が無事に終わったから奇跡だというのではなく、通常のお産すら、奇跡なのだという気がする。この世に生きている人がみな、あの過程を経て生まれてきているのだと思うと、多少、気が遠くなる。

通常の分娩すらひとつひとつ奇跡で、あまり「いいお産」とか言わず謙虚に圧倒されておくのがその正しい味わい方なんじゃないかと、私など思うのだが、価値観はいろいろなんだから分娩に臨む態度もいろいろあっていいんだろうとも思う。

それでも、やっぱり外してはいけない人の道というのもあるだろう。分娩は母子ともに危険にさらされるものだけど、死亡率一つとっても子の方が高い。ハイリスク分娩は相当の割合で事前に予測できるものなんだから、母の意向一つでその予測の機会を子から奪うってのは私には納得できない。母の納得と母の危険を天秤にかけるのは、判断力を備えた成人のやることなんだしということで愚行権の範疇かもしれないが、母の納得と子の危険では天秤に載せられないんじゃないかと思う。