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こどものおいしゃさん日記

何だってこんなことになってしまったのだろう

本当に自分の治療で治っているんだろうかと思うこと

病院で一般小児科外来をしていると、「近所の・・・先生にかかって薬をもらったけど治らないから」という受診が相当数あるんだが、拝見しながら、この子が来なくなったことで、近所の先生はこの子が自分の処方で治ったと思っておられるんだろうなと、考えたりする。近所の先生を腐すまでもなく、私自身、再受診しない子は改善したから来られないんだと考えがちだけど、私のところで治らなかった子がたとえば日赤とか市立病院とかけっこう流れてるんじゃないかと思ったりもする。

内科の先生方はそうではなかろうけれど、小児科医は来なくなった患者は治ったから来なくなったんだろうと考えるのが習慣だと思う。とくに一般外来の大多数を占める急性疾患については。それが陥穽になってることもあるんじゃないか、と、十年一日のような近医処方を拝読しながら考えたりする。これで治ると思っておられるんだろな、と。感冒の子にことごとく第3世代セフェムの経口薬が出してあったり、そのほかもろもろ。

こうやって患者さん側の判断で受診先を変えられると、診療内容にフィードバックがかからない。フィードバックがかからないと診療が上達しない。診断も、処方内容も。地域の医療機関のあいだを患者さんが順繰りに移動していくことで、地域の医療機関の診療レベルが妙に低いところで均衡したりするんじゃないかと懸念する。

とは言っても、受診先を制限することでこの均衡を打破して診療内容が向上するかというと、そうでもなくて、小児の自然治癒力はものすごいものがあるから、どんなへぼい処方でも治るものは治る、というか、有り体に言ってへぼい処方にもかかわらず治ったりする。そういうのを自分の治療のおかげだと思ってると、狭い井戸の中で勘違いをして独善的な診療を続けることになりかねない。

一番いいのは、先生のところにかかった患者さんがこのように仰って私のところに来られたよ、という情報がやりとりできることなんじゃないかと思う。そういうやりとりを活発にできるような雰囲気のある土地では、診療レベルが上がるんだろうなと思う。