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こどものおいしゃさん日記

何だってこんなことになってしまったのだろう

カンフル剤って何ですか?と現役医師が尋ねてみる

医者になって15年以上たつわけだが、カンフル剤なんて見たこともない。小児科だからとは限らない。初期研修で救急病棟をまわっていたときにも、「こういう状況ではカンフル剤を打つんだ」なんて指導をうけた記憶はないし、後期研修で全科当直をしていたときにも、内科の先生から「こうなったらカンフルで云々」と申し送られた記憶はない。

つまるところ「カンフル剤」なんていう語はテレビや新聞でしか聞いたことがない。それも医学記事ではなく、経済記事や政治記事で、駄目になりかけた状況を救おうと意図した一発逆転の方策をたとえてである。それとてたいていはその場しのぎに過ぎないのだが。医学関係においては、医療崩壊をあおる半端記事にすらカンフル剤への言及はみたことがない。

邦文の医学雑誌をほぼ網羅した検索サイトである「医中誌Web」で「カンフル」を検索してみると、2000年からの文献でヒットしたのはたった29件である。蘇生剤としてのカンフルについて言及した文献は皆無である。何の目的でか軟膏として使うことはあるらしいが、およそ軟膏を塗って生き返るってことはないだろう。歯科で使うこともあるらしい。全身作用としては、防虫剤として用いるカンフルを小児や認知症の老人が誤飲して中毒云々の記事ばかりである。

したがってニュースなんかで「専門家」がコメントするときに「カンフル剤」云々と言った場合、なるほどこの「専門家」はちゃんと下調べをしない人なんだなと思うことにしている。むろん、そのご高見はそれなりに割り引いて聞く。

落ち目の政治家が自分の名前とひっかけてブログのタイトルに使っておられるとのこと。自分は時代遅れで役に立たず見捨てられましたと知らず知らずに公言なさっておられるようで気の毒である。あんまり官僚をいじめたから厚生労働省の人もなにも言ってくれなかったんだろう。友達にまともな医師はいなかったのかな。