こどものおいしゃさん日記

何だってこんなことになってしまったのだろう

結局のところ、ランスは復活するべきだったのだろうか

ツール・ド・ランス

ツール・ド・ランス

ランス・アームストロングの2度目の復活の顛末である。著者はランスやブリュイネールの旧知のジャーナリストとのこと。著者自身は2度目の復活について(一度目の復活の価値を問うものはないだろう)意見を述べるのを慎重に避けている。ランスの復活から、あの2009年のツール終了までに、彼がランスやブリュイネールのごく身近にあって見聞したことを、淡々と事実に即して述べるという体裁である。

私がツールの中継を見始めたのが2009年からなので、ちょうど本書に書かれた時期のことになる。はじめてランスの走りを見て、すごい選手だと思った。しかしこの夏、Jスポーツが再放送した、かつてのランスの7連覇中の走りを見てしまった。その姿はまさに「ランス」と呼ぶしかない、他のどのような言葉をもって表現してもその範疇を超え出てしまうものであった。その姿を見てしまうと、記憶の中の2009年のランスがずいぶん貧相なものと感じられてならなかった。7連覇中との違いは、強弱の問題とすら言えなかった。それは真贋の問題であった。

本書を読み、Jスポーツの再放送を観た今となっては、ランスは2度目の復活はするべきではなかったと思う。晩節を汚してしまった感がある。むろん2009年のツールでは総合3位だったのだから、2度目の復活後のランスもすごい選手ではある。しかしツール総合3位は他の選手には業績であっても、「ランス」が誇るべき成績であるとはどうしても思えない。他人の人生を美醜で評価するのは間違ったことだと、頭では分かっているつもりなのだが。